
「夜、患者さんから電話が鳴る。これ、どこまで対応すればいいんだろう?」
かかりつけ薬剤師をしていると、時間外の連絡は避けられません。先に結論を言います。夜間対応は「全部受ける」でも「全部断る」でもなく、"線引き"がすべてです。
正直に告白すると——私はこの9年、ほとんど"全部"受けてきました。そして、消耗しました。だからこそ書きます。抱え込まないための、現場の線引きを。
目次
大前提:薬剤師は「診断」はできない
ここがすべての土台です。薬剤師にできるのは「病名を診断すること」ではありません。時間外の役割は、実はシンプルに2つだけ。
- 薬に関する相談に答える
- 緊急度を見極めて、適切な窓口(受診・救急・相談ダイヤル)に繋ぐ
つまり、"全部を自分で抱えて対応する"のは、むしろ線引きの逸脱。判断に迷うグレーは、医療機関に回していい——これが、抱え込みグセのある私が一番学ぶべきことでした。
夜間・時間外の相談を「3つ」に仕分ける
| 区分 | こんな時 |
| 🔴 迷わず受診・119へ | 意識がおかしい/呼吸が苦しい/胸痛・冷や汗/突然の激しい頭痛・ろれつが回らない・片麻痺/けいれん/アナフィラキシー(蕁麻疹+呼吸苦・腫れ)/止まらない出血/高熱でぐったり(特に小児・高齢者)/大量服薬・誤飲 |
| 🟢 薬剤師が対応 | 軽い副作用(少しの発疹・胃の不快・眠気)/飲み忘れ・少量の飲み間違い/飲み合わせ・OTC併用/用法用量の確認/解熱剤の使い方 など |
| ⚪ 翌営業日でOK | 在庫確認・取り置き/急がない質問/次回受診の相談 |
🔴は"薬の相談"ではなく、体の急変です。ためらわず救急へ。🟢でも、悪化傾向や判断に迷うなら、すぐ受診勧奨に切り替える。この"切り替えの早さ"が、患者さんを守り、自分も守ります。
消耗しないための"仕組み"
線引きは「気合」では続きません。仕組みで支えます。
- 「迷ったら受診・救急へ回す」を基本ルールに:薬剤師は診断できない。グレーを抱え込まない。
- 公的な相談窓口に繋ぐ:#7119(救急安心センター)や #8000(小児救急でんわ相談)。「ここに電話してみてください」と繋ぐのも、立派な線引き。全部背負わなくていい。
- 必ず記録を残す:日時・相談内容・対応。自分を守る材料にもなる。
- 家族・介護者を巻き込む:本人が動かない時は、付き添いを頼む。
正直に言うと、私は"全部受けて"いました
先日、夜に患者さんから連絡があり、症状が悪化して、代わりに救急車を呼んだことがありました。(その夜の話は別記事に書いています)
振り返ると、私は"線引き"をせず、なんでも自分で対応しようとしていました。優しさのつもりが、実は自分を削り、判断を遅らせていた。
線引きは、冷たさじゃありません。むしろ、患者さんを"正しい窓口"に最短で繋ぐための、プロの技術。そう思えてから、少し楽になりました。
まとめ
- 薬剤師は診断できない。役割は「薬の相談」+「適切な窓口に繋ぐ」
- 🔴急変は迷わず119/🟢薬の相談は対応、迷えば受診勧奨/⚪急がないものは翌営業日
- 迷ったら受診、#7119・#8000に繋ぐ、記録を残す、家族を巻き込む
全部を抱えなくていい。線引きは、患者さんのためでもあり、あなた自身が現場に立ち続けるためでもあります。
※症状の緊急度は一人ひとり異なります。緊急時は迷わず119番へ。この記事は現場経験に基づく一般的な目安であり、最終判断は医療機関の指示に従ってください。
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