暮らしと家族

父も、母の後ろに隠れていた子だった|「一人で遊ぶのが楽しい」と言う息子に、伝えたいこと#168

「クラスでね、一人で遊ぶのが楽しいの」

お風呂で、6歳の息子がそう話してくれました。

聞いた瞬間、少しドキッとして、それから少し笑ってしまいました。

父の私も、まったく同じ子どもだったからです。

「友達と遊ばないの?」に返ってきた沈黙

息子の園には、「お仕事」と呼ばれる、指先を使う作業の時間があります。息子はその時間が楽しいのだそうです。

「友達はどうしているの?」と聞くと、

「友達同士で遊んでいる」

「友達とは遊ばないの?」と聞くと、

……そこで、言葉が止まりました。

答えは出てきませんでした。でも、私には少し寂しそうに見えました。その沈黙に、何かが詰まっている気がしたんです。

追いかけっこで、涙目になった日

先日、子どもが集まる施設に行ったときのこと。

同じくらいの年の、知らない子が息子を遊びに誘ってくれました。始まったのは追いかけっこ。

しばらくすると、息子は涙目で、私の膝の上に戻ってきました。

息子は、そもそも逃げる側が嫌いです。本当は追いかける側をやりたかったんだと思います。でも、その子に逃げる側をやらされて、それが嫌だった。

「追いかける側がいい」と言えれば、たぶん涙目にはならなかった。言えなかったから、膝に戻ってきた。

膝の上の息子を見ながら、昔の自分を思い出していました。

父も、母の後ろに隠れていた子だった

子どものころの私は、誰と会っても、たいてい親の後ろにいました。

特に親戚の集まり。父の兄弟にイジられるのが、とにかく嫌でした笑 そのたびに、母の後ろに隠れていた記憶があります。

今思えば、相手のペースで遊ばれるのが苦手だったんだと思います。逃げる側をやらされて膝に戻ってきた息子と、どこか似ています。

だから、膝に戻ってきた息子の気持ちが、少しだけ分かる気がしたんです。

箱と新聞紙で、一人で何かを作っていた

家ではゲームに時間制限があったので、よく工作をしていました。

空き箱や新聞紙を使って、あれこれ作る。とにかく物を作るのが好きで、一人で黙々と手を動かしている時間が楽しかった。

息子が「指先を使うお仕事の時間が楽しい」と言ったとき、あ、同じだと思いました。一人で、手を動かして、何かを形にする。それが心地いいんです。

人見知りは、大学で"練習"した

今の私は、周りからは「人見知りには見えない」と言われます。

でも、自分では今でも人見知りだと思っています。

変わったのは、大学のころです。いろんな人と話せるように、自分から話しかけるよう努力しました。性格が変わったわけではありません。話しかけ方を、練習して覚えたんです。

だから私は、人見知りは「直すもの」ではなく、「技術で補えるもの」だと思っています。

今も、気づくと一人で先に進んでいる

大人になった今、人と一緒にいるのは心地いいと感じます。

ただ、副業も、仕事の効率化も、気づくと私だけが前のめりになっていて、周りを置いてきてしまう。結果、一人で進めていることが多いんです。

同じ温度で一緒に走ってくれる人が、なかなか見つからない。一人が好きというより、気づいたら一人になっている、という感じかもしれません。

この「つい自分で進めてしまう」話は、前にも書きました。

「自分がやったほうが早い」を、何回繰り返しただろう

息子は、本当は友達と遊びたいのかもしれない

ここからは、親の勝手な見立てです。

息子は、友達と遊びたそうにしているように見えます。

一人で遊ぶのが楽しいのも本当。でも、「友達とは遊ばないの?」に答えられなかったあの沈黙は、「遊びたいけど、どうやって入ればいいか分からない」だったのかもしれません。

先日の就学時健診では、係の人の指示に一人で従って、問診票を持って部屋に入っていきました。大人とのやり取りは、思っていた以上にできる。難しいのは、同じ年の子との、ルールのないやり取りなのかもしれません。

問診票を持って、一人で入っていった|療育に通う息子の就学時健診で、親が驚いたこと

「話しかけ方」は、あとから覚えられる

妻とも話しましたが、考えは同じでした。

無理に友達の輪に入れようとは思いません。一人で遊ぶ時間が楽しいなら、それはそれで大事にしたい。

ただ、話しかけ方は覚えてほしいと思っています。

  • 「いれて」と言ってみる
  • 「追いかける側がいい」と言ってみる
  • 嫌なときは「いやだ」と言ってみる

どれも、性格を変えなくてもできることです。父が大学で練習したように、言い方を知っているだけで、扉は開けられる。

一人が好きでもいい。でも、扉の開け方は知っていてほしい

母の後ろに隠れていた子は、今、家族を持って、毎日いろんな人と話す仕事をしています。

人見知りは、なくなりませんでした。でも、人見知りのままでも、ちゃんとやっていけています。

だから息子にも、一人が好きな自分のままでいいと伝えたい。そのうえで、友達の輪に入りたくなったときの扉の開け方だけは、少しずつ一緒に練習していこうと思います。

いつか息子が「追いかける側がいい」と自分で言えた日には、たぶん父のほうが嬉しくて泣くと思います。

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