
「僕は、抜かれすぎたんだ」
園での最後の運動会のあと、6歳の息子がそう言いました。
言葉にするのが少し苦手な息子です。その息子の口から、ゲーム以外で「悔しい」という気持ちを受け取ったのは、これが初めてでした。
目次
先生が、こっそり教えてくれたこと
運動会の2日前。私は園の運動会の設営を手伝いに行きました。
作業の合間に、先生がこっそり教えてくれました。
「リレーはアンカーで、開会式は歌の担当なんです。すごく頑張っていますよ」
……息子よ、そんな大きな仕事を任されていたのかい?笑
家では、そんな話は聞いていませんでした。親の知らないところで、ちゃんと役割を任されて、頑張っていた。それだけで、運動会がぐっと楽しみになりました。
前日、膝の上から一人の椅子へ
運動会の前日は、息子と二人で美容室へ行きました。
昔は、私の膝の上に乗って切ってもらっていました。今は、一人で座って全然平気。
膝の上が空いたのは、少しさみしくて、かなり嬉しい。そんな気持ちで、運動会の朝を迎えました。
開会式、大きな声で歌えていた
まずは、開会式の歌。
息子は、大きな声で歌えていました。
先生が言っていた「歌の担当」は、本当だったんだな、と思いながら聞いていました。
アンカーは、最下位でバトンを受け取った
そして、リレー。
息子にバトンが回ってきたときには、チームは最下位でした。
アンカーの息子は走りました。でも、前の子を抜くことはできませんでした。
徒競走は、4人中3番でした。
「僕は抜かれすぎたんだ」
運動会のあと、息子が言ったのが、冒頭の言葉です。
「僕は、抜かれすぎたんだ」
リレーでは、息子は抜かれたわけではありません。たぶん「抜くことができなかった」と言いたかったのだと思います。もしかしたら、徒競走の3番のことかもしれません。
言い方は、少しずれていました。でも、何を伝えたいのかは、ちゃんと分かりました。
ゲーム以外で、初めて聞いた"悔しい"
息子は、自分の気持ちを言葉にするのが少し苦手です。
ゲームで負けて悔しがることはあっても、それ以外の場面で「悔しい」を外に出したのは、私の知る限り初めてでした。
この1か月ほど、息子の言葉が少しずつ外に出てきています。就学時健診では、問診票を持って一人で部屋に入っていきました。
問診票を持って、一人で入っていった|療育に通う息子の就学時健診で、親が驚いたこと
私は、息子の成長は「できない」ではなく「まだ途中」だと思っています。時間がたてば、できるようになる。実は私自身も、小さいころは遅いほうでした。
だからこそ、「悔しい」が言葉になって出てきたことが、嬉しかったんです。
父も、負けず嫌いだった
息子の悔しさは、すごくよく分かりました。
私も、負けず嫌いだからです。そして私は、もともと足が速いほうでした。
だから、息子に言いました。
「練習しようね」
息子は、頷いていました。
悔しさを、次につなげる。それを息子が受け入れてくれたことも、父としては大きな一歩でした。
翌日、父は自転車に抜かれっぱなし
運動会の日は、終わったあとも息子の提案で子どもの遊び場へ。子どもの体力は、本当に底なしです。
その夜には、息子からこう聞かれました。
「明日はパパも僕もお休み。どこ行く?」
翌日は、大きな公園で自転車の練習。息子は「スピードを出すのが楽しい」と、どんどん先へ行きます。追いかける親は、必死です。
前の日に「抜かれすぎた」と言っていた子に、今度は父が抜かれっぱなしでした笑
悔しさは、次へのバトン
リレーでは、抜けませんでした。
でもあの日、息子は「悔しい」という気持ちを、自分の言葉で外に出しました。それは、リレーの順位よりずっと大きなことだと思っています。
人見知りで、一人で遊ぶのが好きな息子のことは、先週も書きました。
父も、母の後ろに隠れていた子だった|「一人で遊ぶのが楽しい」と言う息子に、伝えたいこと
来年の春には、小学生です。
足の速さは、練習すればきっと伸びます。父も一緒に走ります。悔しさは、次のレースへのバトン。今度は、受け取ったバトンで、前の子を抜けますように。
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