家計管理

ふるさと納税と医療費控除は併用できる?|ワンストップ特例が無効になる条件と「10万円の壁」#159

「ふるさと納税をしたけど、今年は病院によく行った。医療費控除もやったほうがいいのかな?」

これ、まさに私が先日悩んだことです。

今年はふるさと納税を136,500円ぶん、5自治体に申し込みました。ワンストップ特例を使うつもりです。一方で、今年は家族で歯科・内科・薬局とよく通った年でもありました。

調べてみると、両方やること自体はできる。でも「確定申告をするとワンストップ特例が無効になる」という落とし穴があることがわかりました。

結論から言います。

医療費が年間10万円を超えないなら、ワンストップ特例を崩す必要はありません。そして、超えるかどうかの判断は年明け(1〜2月)でいい。今はワンストップを出しておくのが正解です。

この記事では、その理由と、10万円に届かなかったときの「第2の選択肢」まで整理します。

ふるさと納税と医療費控除は併用できる

まず大前提として、この2つはまったく別の制度です。どちらか一方しか使えない、ということはありません。

制度中身効果
ふるさと納税自治体に寄付して返礼品をもらう自己負担2,000円を除いた分が税金から引かれる
医療費控除1年間に払った医療費を申告する一定額を超えた部分が所得から引かれる

つまり「両方やって、両方トクする」が可能です。

ただし、ここに条件がひとつあります。

落とし穴:確定申告をするとワンストップ特例は無効になる

ふるさと納税には、税金を安くしてもらう方法が2つあります。

  1. ワンストップ特例:申請用紙を自治体に送るだけ。確定申告が不要(寄付先5自治体以内が条件)
  2. 確定申告:申告書に寄付額を自分で書く

問題は、この2つが共存できないことです。

医療費控除は、原則として確定申告でしか使えません。そして確定申告をした時点で、先に出したワンストップ特例の申請は自動的に無効になります。

ここで一番怖いのが、こういうパターンです。

  • ワンストップ特例を出した
  • 年明けに医療費控除のために確定申告をした
  • でも申告書にふるさと納税を書き忘れた
  • → ワンストップは無効、申告にも記載なし=寄付金控除がまるごと消える

13万円寄付して、控除がゼロ。返礼品だけもらった高い買い物になります。これは絶対に避けたい。

だから確定申告をするなら、医療費とふるさと納税を必ずセットで書く。これが鉄則です。

そもそも医療費控除は「10万円」を超えないと使えない

ここが今回の本題です。

医療費控除には入口のハードルがあります。

1年間(1月1日〜12月31日)に払った医療費のうち、10万円を超えた部分が控除の対象。
※総所得金額等が200万円未満の人は「総所得金額等の5%」がラインになります。

しかも、ここから保険金や高額療養費で戻ってきたお金は差し引く必要があります。

つまり「けっこう病院に行ったな」という感覚でも、実際に集計すると10万円に届かないことが普通にあるということです。

戻ってくる金額も、思ったより大きくない

仮に12万円だったとして計算してみます。

  • 12万円 − 10万円 = 控除される額は2万円
  • 2万円 × 税率(所得税+住民税で約30%の場合)= 約6,000円

領収書をかき集めて、申告書を作って、戻ってくるのが約6,000円。

もちろんゼロよりはいい。でも「ワンストップを崩して、ふるさと納税も書き直す手間」と天秤にかけると、正直ちょっと悩むラインです。

わが家の場合:たぶん10万円に届かない

今年のわが家は、家族で歯科・内科・薬局とよく通いました。体感としては「今年は病院代がかかったな」という年です。

ただ、先日ようやく歯科の通院が終わったタイミングでざっと振り返ってみると——おそらく10万円は超えません。

これが現実です。医療費控除は、想像以上にハードルが高い。

だから私の結論はこうなりました。

  • ふるさと納税は予定どおりワンストップ特例で申請する
  • 医療費の集計は年明けにやる
  • もし10万円を超えていたら、そのとき初めて確定申告に切り替える(ふるさと納税も申告書に記載する)

今の時点で決める必要はない——これが一番大事なポイントです。

10万円に届かない人へ:薬剤師が教える「もう一つの控除」

ここからが、薬剤師として一番書きたかったところです。

医療費控除が使えなくても、市販薬(OTC医薬品)をよく買っている人にはもう一つの制度があります。

それがセルフメディケーション税制です。

医療費控除セルフメディケーション税制
対象病院・薬局で払った医療費対象の市販薬の購入費
入口のライン年間10万円超年間12,000円超
上限200万円88,000円
家族の分合算できる合算できる

入口が12,000円。10万円と比べたら、圧倒的に届きやすい。

風邪薬・胃腸薬・鼻炎薬・湿布などを家族分まとめて買っている家庭なら、年間1万2千円は意外とあっさり超えます。

ただし、条件が2つあります

  1. 健康のための取り組みをしていること(会社の定期健康診断、人間ドック、予防接種、がん検診など。会社員なら健診を受けていればOKなことが多い。受ける必要があるのは申告する本人だけで、家族全員が受けている必要はありません)
  2. 医療費控除との「どちらか一方」しか選べない(併用不可)

つまり「医療費が10万円に届かなかった人の受け皿」として考えるのが現実的です。

なお、こちらも確定申告が必要なので、ワンストップ特例は無効になります。ふるさと納税を申告書に書くのを忘れないでください。

対象の市販薬の見分け方【薬局の現場から】

「どの薬が対象なの?」という質問を、現場でもよく受けます。

見分け方は2つです。

① 商品のパッケージにある識別マークを見る

対象の商品には、セルフメディケーション税制の共通識別マークが印刷されていることがあります。買うときに箱を確認するのが一番早いです。

② レシートの★印を見る(こちらが確実)

ドラッグストアのレシートでは、対象商品の横に★などの印が付き、下のほうに「★はセルフメディケーション税制対象商品です」といった注記が入ります。

申告のときに必要なのは、結局このレシートです。マークだけ確認して捨ててしまうと意味がないので、買った時点で財布ではなく専用の封筒に入れておくことをおすすめします。

ちなみに、処方箋でもらう薬は医療費控除のほうに入ります。ここは混ざりやすいので注意してください。

医療費控除に入れられるもの・入れられないもの

集計するときに迷いやすいところを整理しておきます。

入れられる入れられない
病院・歯科の診察代健康診断・人間ドックの費用(※病気が見つかって治療した場合を除く)
処方箋でもらった薬代予防接種の費用
治療のための市販薬健康増進のためのサプリメント・栄養ドリンク
通院の公共交通機関の交通費自家用車のガソリン代・駐車場代
治療目的の歯科矯正美容目的の歯科矯正・審美治療
出産費用・入院費入院時の差額ベッド代(自己都合の場合)

意外と落とされがちなのが通院の交通費です。子どもの通院に付き添った親の交通費も対象になる場合があります。バス・電車を使っているなら、日付と金額をメモしておくだけで積み上がります。

結局どうする?今やること・年明けにやること

今(年内)やること

  • ふるさと納税は予定どおりワンストップ特例を申請する(翌年1月10日必着)
  • 医療費の領収書を捨てずに1か所にまとめる(封筒ひとつでOK)
  • ドラッグストアのレシートも同じ封筒に入れる
  • ふるさと納税ポータルの寄付証明書データは消さずに保管(確定申告に切り替えるとき必要になる)

年明け(1〜2月)にやること

  1. 領収書を集計して、家族分の合計を出す
  2. 10万円を超えていない → 何もしない。ワンストップ特例がそのまま効く
  3. 10万円を超えていた → 確定申告する。このときふるさと納税も必ず申告書に記載する
  4. 10万円に届かず、対象の市販薬が12,000円を超えていた → セルフメディケーション税制を検討(この場合も確定申告+ふるさと納税の記載が必要)

ワンストップ特例を出したあとに確定申告をしても、ペナルティがあるわけではありません。単に上書きされるだけです。だから「先にワンストップを出しておく」のはノーリスクなんです。

まとめ

  • ふるさと納税と医療費控除は併用できる
  • ただし確定申告をするとワンストップ特例は無効になる。ふるさと納税を申告書に書き忘れると控除がまるごと消える
  • 医療費控除の入口は年間10万円超。思っているより届かない
  • 届かない人にはセルフメディケーション税制(12,000円超)という選択肢がある
  • 判断は年明けでいい。今はワンストップを出して、領収書を集めておくだけ

私自身、今年は「病院代がかかった年」だと思っていました。でも実際に振り返ると10万円には届かない。体感と数字は、けっこうズレます。

だからこそ、悩むのは集計してからで十分です。今やるべきなのは、レシートを捨てないことだけ。

今年のふるさと納税で何を選んだかは、わが家の5自治体と返礼品の記事にまとめています。副業をしている方は、確定申告のラインについても整理しているのでよければ。


※この記事は2026年9月時点の制度をもとに、私自身が調べて整理したものです。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取り扱いが変わります。最終的な判断は国税庁のサイト・お住まいの自治体・税務署・税理士にご確認ください。

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