
久しぶりに、平日の連休が取れた。
薬剤師という仕事柄、家族そろって休める曜日は限られている。だからこの夏、子どもの夏休みと自分の連休がやっと噛み合った日、前から「いつか連れて行きたい」と思っていた水族館へ、家族全員で出かけることにした。妻と、5歳の息子と、0歳の娘。普段はなかなか行けない、ちょっとした遠出。ずっと先延ばしにしていた"いつか"を、ようやく回収する日だ。
目次
「でっか!!」から始まった、初めての水族館
息子にとっては、初めての水族館だった。
薄暗い通路を抜けて、大きな水槽の前に出た瞬間。ゆっくりと横切っていく巨大な影を見上げて、息子が叫んだ。
「でっか!!」

ジンベエザメだった。図鑑や画面の中でしか知らなかった"本物"のスケールに、5歳児の語彙は「でっか」の一言に持っていかれる。ガラスに顔を寄せて、しばらく動かなかった。親の心配をよそに、水族館デビューは大成功のようだった。
あつ森の"憧れの魚"の前で、30分
でも、この日いちばん息子の心を掴んだのは、もっと意外な魚だった。
ナポレオンフィッシュ。額がぽっこり出た、青くて大きな魚だ。うちの息子はゲームの『あつまれ どうぶつの森』が好きで、その中で"憧れの存在"として知ってはいたけれど、現実で見たことは一度もなかった。画面の中の魚が、いま目の前を悠々と泳いでいる。
息子は、その水槽の前から30分近く動かなかった。ジンベエザメと同じくらい、いや、憧れていたぶんそれ以上に、食い入るように見つめていた。

ゲームの中で出会った"憧れ"に、現実で本当に会える。子どもにとってそれがどれだけ特別なことか、その後ろ姿が全部語っていた。連れてきて良かった、と心から思った瞬間だった。
恐竜の前では、ちょっとだけ弱気に
別の日には、恐竜の骨格が並ぶ博物館にも足を運んだ。全長何メートルもある全身骨格が、見上げるほどの高さで牙をむいている。

正直、水族館ほどのテンションではなかった。むしろ最初は、大きすぎる骨格にちょっと及び腰。……が、慣れてくると平気になり、最後は自分のペースで見て回っていた。


そして、いちばん熱中したのは"展示"ではなく"体験"のほう。化石を掘り出すコーナーで、息子は本気の顔で、ずっと黙々と掘り続けていた。見る側から、参加する側になった瞬間、スイッチが入るらしい。発掘クエスト、無事クリア。
「このために働いてる」って、たぶんこういう日のこと
帰りの車で、後ろの席の子どもたちを見ながら、ふと思った。
自分が働き方を整えたり、お金のことを勉強したり、副業や投資でコツコツ積み上げたりしているのは、突き詰めるとこういう一日のためなんだな、と。「なんのために頑張ってるんだっけ」の答えは、いつも家族のこの表情の中にある。
薬剤師の仕事は、休める曜日が限られる。だからこそ、"休みを作れる働き方"を少しずつ整えて、こういう日を増やしていきたい。効率化して、自由な時間を作って、家族とどこかへ出かける——私にとってのゴールは、たぶんずっとこれだ。
次はどこへ連れて行こうか。憧れの魚に会えた息子は、きっとまた新しい"会いたい何か"を見つける。その"いつか"を、これからも一つずつ回収していけたらと思う。
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