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年越しそばを食べる理由・意味

大晦日になると、多くの方が年越しそばを食べます。 私もよく食べますが、「なぜ大晦日になると年越しそばを食べるのだろう」と疑問に思うことがよくあります。 「そばじゃなくて、年越しラーメンでもいいんじゃないの」と思っていましたが、年越しそばでなくてはならない、食べる理由・意味がきちんとありました。

約9000年前に食べ始められたそばは、鎌倉時代に中国から伝わった石臼によって、そばがきなどの食べ方が広がり、室町時代に現在のようなそばが発明されました。 江戸時代になると庶民の食べ物として普及しました。

年越しそばの起源は、鎌倉時代のそば餅や、室町時代のそばがきとされています。 

鎌倉時代、博多の承天寺では、年の瀬に年末を越せない貧しい町人たちに「世直しそば」というそば餅が振舞われ、食べた翌年から運が向上しました。 以降、大晦日にそばを食べる習慣ができました。 また、無病息災を祈願したそばがきも、大晦日に食べられていました。

大晦日に年越しそばを食べる理由は、諸説あります。

こしが強く長く細いそばには、「長生きしたい、家系が長く続いてほしい」といった縁起担ぎの意味で年越しそばが食べられます。

「長生きしたい」という縁起担ぎのとおり、低カロリーのそばは、健康によいタンパク質やビタミン、ミネラルなどの豊富な栄養素が含まれています。

中でもタンパク質は、皮膚や髪の毛、骨などの材料になる三大栄養素の1つです。 さらに、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、体内で作れない必須アミノ酸が豊富に含まれています。 食べ物から補給しなければならない必須アミノ酸の90%以上をそばから摂取できます。

疲労回復や代謝に関わるビタミンB群や、血液の健康に関わるポリフェノール、便通に関わる食物繊維なども含まれています。

江戸時代の主流だった、つなぎが含まれていないそば粉100%の十割そばは、伸ばすとすぐ切れてしまいました。 このように、「悪縁が断ち切れますように」という縁起担ぎの意味で年越しそばが食べられます。

江戸時代、金細工師が作業で散らかった金品を集めるために使ったそば粉のそばにあやかり、お金を集めることから「金運を上げよう」という縁起担ぎの意味で年越しそばが食べられます。

「月末に“晦日そば”を食べる商家の習慣が広まった」という説もあります。さらに、多少の風雨にも負けず、荒れ地でも育つそばにあやかり、「強くなれる」という説まであります。

夜に食べることが多い年越しそばは、大晦日であればいつ食べても問題ありませんが、年をまたいで食べるのはお勧めできません。

年越しそばが食べられるようになった江戸時代当時、数え年で年齢を数えていました。 そのため、1月1日に1歳年を取り、年越しの行事は「年取り」と呼ばれました。 「年取り」の前に、「悪縁が断ち切れますように」という縁起担ぎの年越しそばを新年に食べると、新年早々年を取り、縁が断たれてしまいます。 また、食べ残すと新年は金運に恵まれず「縁起が悪い」と言われています。

1年の厄払いと、新年へのさまざまな願いを込めて食べる年越しそばは、一般的に新年を迎える前に食べられます。 新年への願いを込めながら、大晦日の午前0時までに食べ終わるのがよいでしょう。

年越しそばと一緒に食べると、縁起がよい具材があります。

曲がっている海老は、「腰が曲がるまで長生きできるように」と長寿のシンボルとされ、かき揚げやてんぷらにした海老と年越しそばを食べると、より縁起を担げます。

黄金を連想させる卵の黄身の黄色は、金運を上げる縁起担ぎにより効果があります。 

卵を巻いているおせち料理のだて巻きは、反物を連想させ、「着るもの似困らない」という縁起担ぎの意味が込められています。

年越しそばと一緒に卵焼きやだて巻きを食べるか、月見そばとして食べてもよいでしょう。

商売繫盛の神様であるお稲荷さんを指すきつねの大好物が油揚げです。 お稲荷さんにあやかり、新年の金運や仕事運の向上を願っているなら、年越しそばと一緒に油揚げを食べましょう。

おせち料理に入っているにしんの昆布巻きのにしんは、“二親”にかけて「両親からたくさんの子どもが生まれますように」という縁起担ぎの意味が込められています。

子宝と子孫繫栄の意味が込められているにしんと年越しそばを合わせ、京都の多くの家庭では、にしんそばが食べられています。

ねぎは、苦労に対する感謝の言葉“ねぎらう”を表し、1年間頑張ってきたことをねぎらえば、新年を温かい気持ちで迎えられるでしょう。

大晦日に年越しそばを食べる習慣にはいろいろな説があっても、よい縁起を担ぐものばかりです。 新年を気持ちよく迎えたい思いは、いつの時代も変わらず、ずっともち続けているのでしょう。

大晦日に年越しそばを食べる習慣が当たり前のようになり、食べる理由を考えたことがありませんでした。

食べる理由と新年への願いをかみしめながら、家族と一緒に年越しそばの美味しさを堪能したいものです。

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