2020年の夏から秋にかけて、美容クリニック院長の高須克弥さんを筆頭に、名古屋市の河村市長らの協力によって愛知県大村秀章知事のリコール運動が行われました。
リコール運動そのものにも賛否があり、リコール活動実行者やそれを応援する人たちは、「2019年開催のあいちトリエンナーレ、表現の不自由店にて天皇陛下や旧日本兵を侮辱するような反日的な作品が複数展示され、そういった展示物がある催しの開催に県が補助金を出した」と主張し、大村知事のあいちトリエンナーレへの対応を批判しました。
一方で「大村知事は憲法21条の表現の自由の精神にのっとって適切な対応をしただけ。また。作品が反日的というのは作品の意図を曲解したものだ」としてリコール活動に対する批判的な意見も根強く、SNS場を中心にリコール派と反リコール派で激しい意見のぶつかり合いがありました。
2か月間の署名活動の結果、選管に提出された署名数はリコールに必要な数の半分ほどにとどまり、その時点で一部市町村は選挙などの関係で署名期間が残っていましたが高須院長の体調不良を理由に活動が休止され、リコール不成立が確定しました。
その後、提出された署名に不正とみられるものが多数あったことが判明し、選挙管理委員会が調査することとなりましたが、調査すること自体にも賛否の声があるようです。
当記事では、大村知事のリコールに関する不正署名発覚の経緯や、有効署名数調査への賛否、最終的な有効票数はどうなるのかなどについてまとめてみました。
大村知事リコール不正署名発覚の経緯は?
大村知事のリコール活動で、署名の中に不正なものが混じっていることが周知されるきっかけとなったのは、リコール活動の受任者として協力していた豊川市の倉橋英樹市会議員のツイートによるものです。
豊川市、ボランティア有難う御座いました!!今、受領書受け取りました🙇♂️
2,715冊13,135筆。
多くの方の署名、本当に有難う御座います😌
一方、どう見ても無効の(悪意ある)ものも…本当、やめて欲しい💦
選管にはきっちり無効とする様、私からも依頼&お詫び致しました。#イエスリコール#愛知県 pic.twitter.com/22cmql3fJW — 倉橋英樹(YES!烏合の衆) (@kuraaruk) November 5, 2020
倉橋市会議員は、高須院長の主張にに賛同し、リコール活動に協力されてきましたが、提出作業の時に明らかに不正とみられるものがあったことを告発しています。
県下64選挙管理委員会の内、唯一偽装署名簿を提出前に発見し、犯罪防除した者です。
今回、署名簿窃盗罪の告訴をされたそうで心配でたまりません。
これから出頭しますので、受理された警察署、担当者をお教えください。
よろしくお願いします。#大村知事リコール続行 https://t.co/NPplQQ0pBf — 水野昇 (@nbr123) November 13, 2020
リコール活動に協力していた水野昇さんのツイートも話題になりました。水野昇さんは、提出前に明らかな不正を発見し、提出をしなかったことから、高須院長に窃盗罪で告発されたといっています。
上記2名の方はリコール活動の趣旨に賛同し、協力してきましたが、それでも「不正をしてまで票数を増やすことは許されない」というそれぞれの正義感によって、結局はリコール活動の本部から裏切り者のように扱われてしまっているようです。
愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)を目指した署名活動を巡り、県選挙管理委員会は21日、不正の可能性があるとして、提出された全ての署名が有効かどうかを調査すると発表した。署名は法定数に届かず既に不成立となっており、総務省の担当者は「制度上は進める必要のない調査。これまで聞いたことがない」と話している。(引用https://mainichi.jp/articles/20201222/ddq/041/010/009000c)
同一筆跡のものが300ほどある、見た感じで約8割が不正、などという証言もあったため、必要数に届いていないリコール活動としては異例ではありますが、愛知県の選管が有効署名数を調査することが確定しました。
選管がチェックすることへの賛否は?
大村知事のリコールに集まった署名を、県の選管が調査することに対しても賛成意見、反対意見があります。
もともとリコール活動そのものに反対していた人はほぼすべての人が調査されるべきと主張し、リコール活動の賛成派の中では意見が割れているようです。
署名数を水増ししようとして故意に不正な署名を行う行為は刑事罰の対象となる犯罪行為に当たります。
「リコール活動は民主主義の原則の中で認められた権利であり、こういった犯罪行為の存在が強く疑われる状態を放置したままだと、不正によって支持されている公権力者が失職に追い込まれるという、民主主義に危機的状況に陥りかねない」として、全容が明らかになることを望む声が多くある一方、高須委員長らを中心に、選管の調査に批判的な意見もあります。
まず法廷署名数に達していないのに、約5000万円の県の税金が使って調査されることに対しての不満もあります。今は新型コロナの感染が拡大している状況なので、その税金をコロナ対策に回せ、という主張です。
「あったとしても『無効』であり、『不正』というのはメディアなどの印象操作だ」として報道の在り方を批判する声もあります。
有効署名数が明らかになって、「リコールは不成立になったとはいえ、43万という決して無視できない人数の県民が大村県政にノーを突き付けた」という主張が揺らいでほしくないという思惑もあると思われます。
「不正があったとしてもリコール反対派が妨害のためにやったのでは」という主張もありますが、それに対しては「どちらの仕業にしても犯罪行為は調査されるべき」という反論が主流となっているようです。
有効署名数はどうなる?
調査の結果有効署名数はどうなるのでしょうか。
まだ調査途中(1月14日現在)ですので確実なことは分かりませんが、相当な数に上りそうな雰囲気です。
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡り、県選挙管理委員会は12日、署名が提出された64選管のうち、46選管分の署名の8割超で、不正が疑われるなど問題があったと発表した。選挙人名簿に登録されていない人物や、同一人物の筆跡と疑われるものだった。(引用https://news.yahoo.co.jp/articles/4b68b441dc1d12ab471bdd887e4d31b5f9e469e7)
調査途中ですが、署名の8割に不正が見られるという報道があります。残りの調査も終わり、同じ割合の不正があったとすれば、43万の署名のうち30万以上が不正、または無効であり、有効署名数が10万を切る可能性も高そうです。
もしそうなれば、受任者が7万人といわれているので、受任者以外の署名がほぼ集まっていないという結果になります。
調査結果の報道に愛知県を中心に注目が集まると思われます。
まとめ
「大村知事リコール不正署名発覚の経緯と選管がチェックすることへの賛否は?有効署名数はどうなる?」と題し、大村知事のリコール活動に伴う不正やそれに対する調査について様々な意見をまとめてみました。
- 2020年に行われた大村知事リコール活動の署名で、不正と思われる署名簿が発見された
- 県選管が有効署名数の調査を行っている
- 調査自体にも税金の使われ方などへの不満から賛否の声がある
- 有効署名数は10万を切る可能性も!
大村知事の対応や不正調査そのものに賛否の意見はあってもいいと思いますが、これからほかの地域でも行われるかもしれないリコール活動で不正が行われないためにも、不正を憎む気持ちは全国で共有したいものです。